サリエリの自筆譜149点が新たに発見――モーツァルトのライバルに光を当てる歴史的発見
クラシック音楽界に大きなニュースが飛び込んできました。英国の音楽ニュースサイト「Slipped Disc」によると、アントニオ・サリエリの自筆作品が149点も発見されたとのことです。これは音楽史研究において極めて重要な発見といえるでしょう。
サリエリ(1750-1825)といえば、映画「アマデウス」でモーツァルトを嫉妬のあまり死に追いやった人物として描かれ、悪役のイメージが定着してしまった作曲家です。しかし実際には、ウィーン宮廷楽長を36年間務めた当代随一の音楽家であり、ベートーヴェン、シューベルト、リストなど後の大作曲家たちを指導した名教師でもありました。
今回発見された149点の自筆譜(作曲家自身の手で書かれた楽譜)の詳細については、現時点では明らかにされていません。しかしこれほど大量の自筆譜が一度に見つかるのは異例のことです。おそらく個人コレクションや図書館の未整理資料の中から発見されたものと思われます。
サリエリはオペラを中心に40作以上の舞台作品を残し、宗教音楽や器楽曲も数多く作曲しました。生前はヨーロッパ全土で高い評価を受けていましたが、19世紀以降は演奏機会が激減し、その作品の多くは忘れ去られていきました。近年になってようやく再評価の動きが活発化し、録音や演奏会で取り上げられる機会が増えています。
今回の発見により、これまで知られていなかった作品が含まれている可能性があります。また、すでに出版されている作品についても、自筆譜と照合することで楽譜の誤りを訂正したり、作曲家の意図をより正確に読み取ったりすることが期待できます。
サリエリの音楽は、モーツァルトと同時代のウィーン古典派様式を基盤としながらも、イタリア・オペラの伝統を色濃く反映した優美な旋律が特徴です。代表作のオペラ「ファルスタッフ」や「タラール」は、近年の上演で高い評価を得ています。
この発見をきっかけに、不当に貶められてきたサリエリの真の姿が明らかになり、その音楽がより多くの聴衆に届くことを期待したいところです。日本でも今後、演奏会や録音を通じてサリエリ作品に触れる機会が増えるかもしれません。
出典:Slipped Disc / The Violin Channel / OperaWire / WQXR などの海外主要メディア