弦楽器製作の名匠マルティン・ヤウマン氏が59歳で逝去
ドイツの著名な弦楽器製作者(リュティエ)であるMartin Jaumann(マルティン・ヤウマン)氏が59歳で亡くなりました。
リュティエとは、ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロなどの弦楽器を手作業で製作・修復する職人を指す言葉です。この呼称はフランス語の「luth(リュート)」に由来し、かつてリュート製作者が弦楽器全般を手がけていたことから、現在でも弦楽器職人の総称として使われています。
弦楽器製作の伝統は、16世紀イタリアのクレモナで花開きました。アントニオ・ストラディヴァリやグァルネリ・デル・ジェスといった伝説的な製作者たちが活躍したこの地は、今日でも弦楽器製作の聖地として知られています。彼らが生み出した楽器は数百年を経た現在も世界最高峰の音色を奏で、億単位の価格で取引されることもあります。
現代のリュティエたちは、こうした歴史的名器の研究を重ねながら、独自の技術と感性で新たな楽器を生み出しています。良質な木材の選定から、ニスの調合、魂柱や駒の調整に至るまで、すべての工程に熟練の技と深い音楽的理解が求められます。一台の楽器を完成させるには数ヶ月から一年以上を要することも珍しくありません。
優れたリュティエの存在は、演奏家にとって不可欠です。世界的なソリストたちの多くは、信頼する製作者との長年にわたる関係を築き、自身の演奏スタイルや求める音色に合わせた楽器の調整を依頼しています。新作楽器の製作だけでなく、歴史的名器のメンテナンスや修復も、リュティエの重要な役割です。
ドイツは、ミッテンヴァルトやマルクノイキルヒェンといった弦楽器製作の伝統を持つ都市を擁し、多くの優れた職人を輩出してきました。Martin Jaumann氏もまた、この豊かな伝統の中で技術を磨き、弦楽器製作の世界で活躍した職人の一人でした。
クラシック音楽の世界では、演奏家の名前が注目されがちですが、その演奏を支える楽器を生み出すリュティエたちの貢献は計り知れません。59歳という年齢は、職人としてさらなる円熟期を迎える時期であり、弦楽器製作界にとって大きな損失となりました。
が86歳で逝去|ルービンシュタインの愛弟子、ロマン派の名手-300x200.jpg)




